元ダービージョッキーは言う。あの「評価ガタ落ちの1頭」は侮れない|けいばおー

2018年05月26日

元ダービージョッキーは言う。あの「評価ガタ落ちの1頭」は侮れない

1: 名無しさん 2018年05月26日 07:45:19 ID:0.net

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

前回も触れた「日本競馬の顔」とも言われる東京競馬場は、ファンのみなさんにとっても見応えのあるスケールの大きな競馬場だと思いますが、馬主さんや調教師、厩務員など、馬に携わる者にとっても特別な競馬場と言えます。レースに乗っている騎手も、大歓声が轟くなか、乗っている者にしかわからない感覚を味わうことができます。

それが、日本ダービー(東京・芝2400m)となれば、より特別な舞台となり、騎手が味わう感覚も計り知れないものとなります。

それこそ、騎手、調教師、生産者、馬主、そして厩舎スタッフ……すべてのホースマンの憧れであり、目標としている舞台――それが、日本ダービーだからです。しかも、競走馬にとっても一生に一度しかないチャンスゆえ、出走するだけでも意義のある、非常に価値のある大きなレースです。

年末の有馬記念も”お祭り”のような盛り上がりを見せますが、日本ダービーはそれとも違います。”祭典”ではあるものの、他のGIとは違って、とりわけ競馬サークル内は、何かピリピリとした強い緊張感のある、異様な雰囲気に包まれます。当日の競馬場はもちろんのこと、週中のトレセンでも「ダービーならでは」という空気が流れています。

そんなムードの中で出走馬に騎乗する騎手は、特に勝ち負けを意識できる馬に乗るともなれば、大きなプレッシャーを感じるものです。

僕もサニーブライアン(1997年の優勝馬)とともに挑んだとき、パドックでサニーブライアンに跨った瞬間、足が震えたのを憶えています。自分では意識しないでいたつもりだったのですが、その特異な雰囲気に自然と飲まれてしまっていたんでしょうね。

今年参戦する騎手を見ると、GIを勝っていないのは丸山元気騎手(アドマイヤアルバに騎乗)のみ。有力馬に騎乗しているのは、GIを勝っている騎手ばかりですから、そこまで雰囲気に飲み込まれてしまう心配はないでしょう。

ただし、すでにダービーを勝っている騎手と、そうでない騎手とでは、”ゆとり”に差があると思います。やっぱり、誰もが一度は勝ちたいと思っている特別なレース。その分、一度でも勝っている騎手は、気持ちに余裕ができます。

例えば勝負どころにおいて、内を突けば、ロスなく脚をためられるとします。ただし、その場合は詰まってしまうリスクも生じます。安全にいくなら、外を選ぶことになるでしょう。

こうした選択でも、気持ちに余裕があるか、ないか、で違ってきます。

勝負事ゆえ、こういう状況を迎えることは当然あります。最終的にどちらを選択したにしろ、騎手を責めることはできませんが、それが結果に影響することが多々あります。それが現実です。

その際、おおよそ気持ちに余裕のある騎手が選択したコースのほうが、好結果につながることが多いと思います。

さて、今年の日本ダービー(5月27日)。弥生賞(3月4日/中山・芝2000m)が終わった時点では、正直こんなに人気が割れて、混戦になるとは思っていませんでした。

そうなった理由のひとつは、ダノンプレミアムの動向によるものです。

デビュー時から桁違いの競馬を続け、初めての2000mとなった前走の弥生賞でも、思っていたほど折り合いに不安を見せることなく、圧勝しました。この時点で、すでに皐月賞(4月15日/中山・芝2000m)は当確。ダービーもほぼ手中に収めていると思っていました。

ところが、一頓挫あって皐月賞を回避する憂き目にあい、今回は弥生賞以来の競馬となります。順調ではない分の割引、そして久々で折り合えるのか、という懸念が持ち上がることになってしまいました。

まともなら「楽勝」というレベルの馬だと思いますが、今回は非常にジャッジが難しい存在となりました。来るなら、1着。負けるなら、大敗という極端な結果になりそうです。

混戦になったもうひとつの理由は、それまでの実績が申し分なく、弥生賞でもダノンプレミアムに次ぐレースをしたワグネリアン、そしてジャンダルムの2頭が、皐月賞で見せ場もなく、大敗してしまったからです。

確かにやや重の馬場状態が影響した面もあると思いますが、見た目には悪い印象が残りました。おかげで、ダービーでの混戦ムードをより強めてしまったと思います。

こうした経緯から、今年は別路線組にもかなりのチャンスがあるように見られています。

その代表格と言えるのが、毎日杯(3月24日/阪神・芝1800m)から直行という、異例のローテーションで挑んでくるブラストワンピースです。

普通なら、毎日杯を勝ったあとは、皐月賞に出走するか、NHKマイルC(5月6日/東京・芝1600m)に向かうのが通例。あるいは、2013年のダービーを勝ったキズナの臨戦過程をなぞらえた「キズナ路線」と言われるローテーションで、京都新聞杯(5月5日/京都・芝2200m)からダービーに挑むケースもあるでしょう。

しかしブラストワンピースは、それらすべてをパスして直行。これは、あまり考えられないことですね。

第一、皐月賞も一生に一度しか出走できないクラシックレースのひとつ。ダービーほどでなくても、関係者にしてみれば、可能ならば出走させたいレースです。

それをパスするということは、それだけの理由があってのことでしょう。そうして、通常であれば挑むであろうNHKマイルCや、京都新聞杯をもパスしてきました。

言い方は悪いのですが、競走馬は経済動物です。賞金を稼げる可能性のあるレースを無理なく使えるにもかかわらず、パスするということは、繰り返しになりますが、それだけの理由があるからなのでしょう。

そう、それこそ日本ダービーを勝つため。

陣営としては、毎日杯以降にレースを使うよりも、使わないほうが勝つ確率が高いと踏んだのだと思います。それだけ、この馬に可能性を感じていたのでしょう。

そういえば、先週のオークスを制したアーモンドアイも、桜花賞の際には1月のシンザン記念以来という、異例のローテーションで勝利しました。ブラストワンピースも、オーナーは同じです。

日本ダービーとは、世代の頂点を決するレースです。ゆえに、例年は皐月賞から来る王道を歩んできた馬にその可能性を感じるのですが、今年は異例中の異例として、このブラストワンピースに最も可能性を感じています。

もちろん”王道”の皐月賞組にも、可能性がある馬はいます。

まず、キタノコマンドール。わずかキャリア2戦の馬にとって、皐月賞は相当厳しい競馬だったと思います。にもかかわらず、5着と健闘。その結果は価値があると思います。

しかも、僅差で5着を死守して優先出走権を確保。それは、この馬にとって大きなことだったと思います。

もし6着だったら、賞金不足でダービーには出走できないため、トライアルレースを使って権利を獲る必要がありましたからね。その場合、かなり過密なローテーションになります。もしトライアルで権利が獲れたとしても、大一番ではノーチャンスになっていたのではないでしょうか。

鞍上は、ダービー2勝のミルコ・デムーロ騎手。ここ一番での勝負強さはご存知のとおり。今回も、辣腕を発揮して大仕事を果たしても不思議ではありません。

一方、優先出走権をわずかの差で逃した6着のグレイル。それでも、GIII京都2歳S(2017年11月25日/京都・芝2000m)を勝った収得賞金によって、ダービー出走が叶いました。これもまた、大きかったと思います。

振り返れば、その京都2歳Sは逆に僅差の勝利でした。こういう幸運も、ダービーを勝つには必要なことだと思います。

この2頭は、ちょうど昨年のダービーの勝ち馬レイデオロ(皐月賞5着)や、2着スワーヴリチャード(皐月賞6着)のイメージがありますね。そもそも皐月賞は、ダービーに向けたステップレース――そう捉えていたフシも感じます。

まさに混戦の今年の日本ダービーですが、「ヒモ穴馬」には皐月賞組、それもそこで1番人気に推されていたワグネリアンを、あえて取り上げたいと思います。一気に評価は下がりそうですが、何番人気になるのでしょうか……。


元ダービージョッキーは言う。あの「評価ガタ落ちの1頭」は侮れない

日本ダービーでの巻き返しが期待されるワグネリアン

皐月賞では、前述のキタノコマンドールやグレイルに伸び負けて、差し返す面も見られずに7着と惨敗。馬場の影響があったとしても、確かに内容は悪すぎます。

とはいえ、今回はコースが変わるため、見直せるところもあるのではないでしょうか。

この馬は、スピードに乗るのに時間がかかるようなので、中山のように最終コーナーがきつく、しかも直線が短く、そのうえ急坂があるコースでは、スピードに乗れず、力を出し切れないのも仕方がないと思います。

それが今回は一転して、コーナーが緩く、直線が長い東京コース。坂はあるものの、中山ほど急坂ではないため、スムーズに加速してスピードに乗っていけるのではないでしょうか。

鞍上は、福永祐一騎手。ここまでに挙げたダノンプレミアム(川田将雅騎手)、ブラストワンピース(池添謙一騎手)、グレイル(岩田康誠騎手)、そしてキタノコマンドール(デムーロ騎手)に騎乗するジョッキーと違って、まだ日本ダービーでの勝利はありません。

しかし2着は2回ありますし、上位人気馬(3番人気以内)での騎乗も5回もあります。ダービーを勝つだけの経験は、もう十分に積んできたと思います。

逆に”勝っていない”という反骨心を糧にして、会心の騎乗ができれば、チャンスはあると見ています。劇的な一発を期待したいですね。

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